主食を抜けば糖尿病は良くなる!って聞いたことありませんか?
血糖コントロールがうまくいっている人はどうぞそのままに。
でも、あまりにも食事が少な過ぎる、
制限が多くて食事が楽しめないと思っている人は炭水化物の見直しが
ヒントになりますよ。

食品交換表を使った糖尿病治療がわが国に導入された1960年代は、
心血管疾患や糖尿病の予防や治療のため世界中で
低脂肪・高炭水化物食が勧められていました。
日本の糖尿病食事療法はまだその影響下にあります。
ところが1990年代になるとヘルシー食と思われていた
高炭水化物食が血清脂質に与える悪影響が注目され始めるのです。
いま、私たちがメタボリックシンドロームと呼んでいる症状を、
初めてシンドロームX(エックス)と名づけて世に警鐘をならした
米国のReaven GMも高炭水化物食には批判的でしたし、
2003年には高脂肪・低炭水化物食が血清中性脂肪を下げ、
善玉コレステロールHDLを増やしてインスリン感受性を改善するといった、
従来の考えと全く逆の論文が権威ある
医学誌N Engl J Med.に集中的に発表されるようになりました。
日本では、運動しなくても痩せられる!?
といった怪しげなダイエットで話題を呼んで、
いつの間にか消えてしまった炭水化物食品のGI(グリセミック指数)も
元来はこの時代に提唱された考え方で、
未精製の加工度の低い炭水化物食品は食後血糖値を高くせず、
心血管疾患に大きく関与する血清中性脂肪も抑え、
善玉コレステロールHDLを上げ、
PAI-1(プラスミノーゲン活性化因子抑制物質-1)や
CRP(C反応性タンパク)なども抑制して心臓や血管を守るという
観点から評価されていたのです。

高血糖と高中性脂肪が糖尿病や心血管疾患のリスクを高めるのは
よく知られていますが、この二つは相互に深く関係しているのです。
食事で摂取する脂肪の量とタイプがインスリン感受性に
影響することは知られていましたが、同様に炭水化物の量とタイプの違いが
脂質代謝に影響を及ぼします。
今の食事療法そこまで配慮しないと駄目なのですね。
例えば食物繊維(炭水化物)は食後の高血糖だけでなく、
中性脂肪値も抑えることで心臓を守っているのです。

で、主食を抜くと、どうなるのか?
京都、高雄病院の江部康二医師が東洋経済新報社から
このテーマで数冊の本を出版されています。
主食を抜くとは大変なインパクトのある表現ですが、
実は炭水化物制限食と銘打ってあっても
一日あたり120g前後の炭水化物は摂取できるようになっているので
問題なく続けられるのでしょう。

糖尿病のある人は無水グルコース75g相当の甘い液体を飲んで
2時間後の血糖値を測定する、
いわゆる75g OGTTを経験していると思いますが、
無水グルコース75gというのは普通のグルコース(ブドウ糖)82.5g相当です。

現代人はこの程度の炭水化物(ブドウ糖)を
一日3回の食事ごとに取っているとの想定で耐糖能を調べるのですが、
この甘い液体が1/2量だとすれば血糖上昇が減るのは当然です。

江部医師が著書「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」で
指導しているのは一日で炭水化物120g前後ですから、
ちょうどこの75g OGTTの1/2にあたります。

また、主食を抜くと言ってもそれは朝夕のことで、
昼食には主食を取るようになっています。

人間の血液の中のブドウ糖の量には日周リズムがあって、
午前中に最大になり午後には最小になるのです。
このタイミングで主食を取るのはなんとも心憎い配慮です。
この日周リズムには面白い話があって、
米国では75g OGTTよりも簡易で安上がりの
早朝空腹時血糖値で糖尿病の診断をしているのですが、
年を追うごとに検査対象の人数が増加する一方なので、
朝だけでなく午後も検査するようになりました。
これも絶食が必要なので採血前に最低4時間の絶食という線が引かれました。
ところが午後組には糖尿病診断が明らかに少なかったのです。
この午後組をもう一度朝に検査したら多くの人が糖尿病と診断されたのは
言うまでもありません。犯人は体内時計だったのです。

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